技術士試験って建設部門の情報は多いんだけど、他の部門の情報が少なすぎるんだよね・・・。
スキルアップとして技術士試験の勉強をしたいんだけど、何を勉強したら良いかよく分からない・・・。
こんな人のための記事です。
技術士の資格取得による最大のメリットは、
日本の科学技術における最高位の国家資格。有資格者は、技術士法(昭和58年(1983年)4月27日法律第25号)により技術士の称号を独占的に使用することができ、同時に科学技術に関する高度な知識、応用能力および高い技術者倫理を備えていることを国よって認定されたことになる最高位の国家資格の保持者であり、学技術に関する高度な知識、応用能力を国家に認定されている。
Wikipedia「技術士」
ことを、第三者へ客観的に示すことができる点です。
転職市場で最強の資格!
企業によっては、「技術士資格」を、「博士課程の修了」と同等に扱うこともあります。
博士課程の修了まで、大学院を含めて 5 年~必要であることを考えると、試験だけで取得できる技術士資格は、とてもリーズナブルです。
しかも、私の体感では、受験者による難易度の差が大きく、人によっては勉強にあまり時間をかけなくても合格することができます。
日常の仕事内容によって、難易度が大きく変わるよ。
私がいるエンジニアの世界は実力主義ですが、自分の市場価値を上げるためには、資格取得がとても有利です。
電気系エンジニアが技術士を取得するべき理由は、こちらの記事をご覧ください。
一方で、建設部門以外の技術士試験では、試験対策の参考書が非常に少ないです。
その理由は、
- 事実上の業務独占資格となる建設部門以外では、受験者が少ない
- 技術士試験自体が、採点基準の分かりにくい試験である
ためだと考えています。
したがって、試験対策に取りかかるとき、建設部門以外の人は、まず何をすれば良いか分かりません。
少なくとも、かえるは分からなかったよ・・・。
この記事では、私の体験に基づいた、技術士試験 二次試験 (電気電子部門) で合格する勉強方法を紹介します。
私は 30 代で、電気電子部門の技術士試験に合格しました。
実際に私がやったことや、受験までに身につけておきたいスキルなど、合格するために迷わない方法を紹介します。
受験までに身につけておきたい4つの対策スキル
技術士試験には、一次試験と二次試験があります。
二次試験の方が難易度は高く、試験内容が記述式となるため、勉強方法を迷いやすいです。
この記事では最初に、二次試験における受験までに身につけておきたい対策スキルを紹介したあとで、次に具体的な弱点の補強方法を紹介します。
スキル①:文字を書く体力・筋力
当たり前のことなのですが、まず、文字を書く体力や筋力がないと、シャーペンで文字を書くことができません。
これは冗談じゃなくて、技術士試験の場合は本当に大切なことなんだよね・・・。
2000 年度まで、技術士試験では、非常に多くの文字数を記述させていました。
技術士試験は、必須科目と選択科目に分類されます。
当時、全体の記述量は 12,000字にもおよび、この文字数を、7 時間かけて書かせる試験だったため、「論文のトライアスロン」と呼ばれていました。
最近になって記述量の見直しがあり、令和になってからは全体の記述量は、5,400 字に減少しています。
しかし、それでも 20 分間ちょっとで 600 字を書ききる体力と筋力が必要となります。
かえるが受験したときは首が痛くて、片手で首を支えながら、もう片方の手で論文を記述したよ・・・。
そんな経験を持つからこそ言えます。
技術試験では、技術力や論理的な思考力よりも、体力や筋力が重要です。
30 代・40 代が筋トレするメリットを、こちらの記事で紹介しました。
ご参考いただければと思います。
スキル②:論理的思考力
論理的な思考力とは、課題解決をするために何を検討しなければならないか、思考する力のことです。
技術士試験の実施綱領によると、
機械部門から総合技術監理部門まで21の技術部門ごとに実施し、 当該技術部門の技術士となるのに必要な専門的学識及び高等の専門的応用能力を有する か否かを判定し得るよう実施する。
出展:日本技術士会「技術士第二次試験実施大綱」
とあります。
つまり、技術士試験では
- 課題解決能力
- 専門的な技術力
この2つを評価されます。
このうち、課題解決能力は、
- 問題 (情報収集、分析)
- 課題
- 解決策 (解決策の方針決め、抽出)
- 効果 (メリット、デメリット)
- デメリットの対策
を説明する能力です。
これらを題意に沿って、記述することができているかを評価されます。
特に、「問題」と「課題」の定義を自分の言葉で説明できるようになっていると、合格へ近づきます。
課題解決をするために、何を検討しなければならないか、思考フローを覚えておくだけでOKだよ。
スキル③:記述力
ここの「記述力」とは、シャーペンで長文を書く能力です。
パソコンで書くのとは異なり、誤字があると消しゴムで消す時間が必要になります。
技術士試験は時間がないから、消しゴムをできるだけ使いたくないんだよね。
技術士試験では、 600 字を 20 分ちょっとで書かなければならないため、できるだけ消しゴムを使わずに、正確に書く能力が必要になります。
言葉の定義を正確に理解して、接続詞や助詞などの日本語を適切に記述できると、読み直しても違和感がない文章を書くことができます。
また、ストーリを堅牢にすることができる「骨子法」を使うことも、書き直しを減らすために有効です。
骨子法とは、大量の文章を記述する前に、ストーリーラインを箇条書きで良いので書いておく記述法です。
600 字程度であれば、骨子法は不要かもしれませんが、1,200 字~ 1,800 字を書こうとすると、骨子法は必須です。
骨子法って書くと難しそうに見えるけど、長文を書く前に下書きをすることだよ。
スキル④:専門的な知識の説明力
「技術」士と言うだけあって、それぞれの部門・科目で要求される専門的な知識を試験では問われます。
技術分野は、出題テーマと使われているキーワードから絞ります。
例えば、私が受験した電気電子部門であれば、出題テーマは、
- 海外展開
- メンテナンス
- 老朽更新
- 災害など時事、地震、大雪、洪水
- 環境対策
などがあり、技術的なキーワードは、
- 回転機
- 変圧器
- 電力変換器
- 電池
- 電気鉄道・自動車
- 照明
などです。
これらの出題テーマと技術的なキーワードについて、ある程度の理解と説明する力が必要となります。
自分の言葉で話せるくらいの知識と説明力があれば良いと思うよ。
技術士試験合格までの勉強方法4つのステップ
ここまでで、身につけておきたいスキルを紹介しました。
つまり、これらのスキルを身につけておけば、技術士試験に合格できます。
簡単に身につけられれば、誰も苦労しないよね・・・。
それでは次に、具体的な勉強方法を紹介していきます。
ステップ①:過去問から出題テーマを抽出する
最初に、過去 5 ~ 10 年くらいの過去問で出題されたテーマと、キーワードを調べます。
過去問は、日本技術士協会のホームページに掲載されています。
たびたび、出題形式は変わりますが、出題のポリシーは変わっていないので、戸惑わないようにしましょう。
出題テーマとキーワードが抽出できたら、次は自分の手持ち資料で勉強ができるか、確認してみます。
もし、資料を持っていなければ、Amazon で専門書を探したり、インターネットで情報を検索します。
電気電子部門であれば、
が参考にできます。
おそらく、ここに記載されている内容から、何問か出題されます。
機械などの他の部門でも、出題の参考にしている雑誌・書籍は存在すると思われます。
自社の図書室に置いてある企業もあるよ。探してみると、余計な出費を抑えられるかも!
ステップ②:自分の不足している力を補強する
技術士試験では、
- 課題解決能力
- 専門的な技術力
この2つが評価されます。
これらの力を補強するためには、
- 論述力の強化 (日本語の書き方の勉強)
- 解答のネタ集め、知識のインプット
を行います。
論述力の強化
意外と知らない人が多いのですが、日本語を正確に記述することは、とても難しいです。
しかも、技術士試験では記述の正確さだけでなく、スピードも求められます。
私の場合、接続詞や助詞を正確に記述するため、テクニカルライティングの本を購入しました。
実際に購入した本は、こちら (の古いもの) になります。ご参考いただければと思います。
解答のネタ集め、知識のインプット
選択科目では、記述のテクニックというよりは、知識そのものを問われます。
技術士の試験範囲は広いため、勉強する技術分野の知識はバランス良く、しかし最低限 60% の得点率で良いことを念頭に置いて、勉強を進めます。
知識のインプットは、ステップ①で絞り込んだ技術分野の専門書を熟読することが良いです。
受験対策として良く見る、「技術情報をノートに整理すること」を試してみましたが、あまり意味がなかったです。
例えるなら、勉強のために綺麗なノートを取ったけど、全然頭に入ってこない感覚かな。
しかも、紙情報は検索がしにくいことから、技術士試験が終わった後でノートを使うことはありませんでした。
そのため、本にまとまっていないバラバラの情報は、PDFにして分野ごとにディレクトリを変えて保存していました。
私の場合、雑誌やインターネットの情報はPDFで取得して、手元にない専門書は購入して、とにかく読むことに専念していました。
本当に力を入れるべきは、情報の整理ではなく、情報が自分の腑に落ちることだよね。
最も効果的なのは、具体的に検討・設計することですが、時間が足りないので、繰り返し情報を読むことが大切だと思います。
そして、インプットした情報は過去問などを解くことにより、アウトプットさせると良いです。
ステップ③:過去問を解く
過去問を解く目的は、試験における時間配分と、記述方法の把握です。
過去問を解くことにより、出題形式を予想することができます。
つまり、
- 量:本試験で同じ問題に出会う確率が高まる
- 技:同じ出題形式ではなくても、解答のネタを出題形式に合わせてアウトプットできる
ようにするのが、過去問を解く目的です。
ここのポイントは、少ない「量」でも「技」で合格水準に達することができる点です。
一方で、このような「技」を磨くためには、多くの良問と解答例から、どのように解答を書くべきか、学ぶ必要があります。
「技」が日常の仕事で身についている人は、記述試験が簡単に思えるよ!
ステップ④:添削を受ける
添削の目的は、自身の弱点を知ることです。
技術士試験では、自身で弱点を分析して、それを補強する必要があります。
そのため、自分の書いた論文を第三者の目で添削してもらうことは、必須だと思います。
身近に技術士がいれば、その人にお願いすることが最も良いと思います。
もし頼みにくかったり、身近に技術士がいない場合は、Web などの技術士コミュニティを頼るのが良いです。
いわゆる、巷の「試験対策講座」では、この弱点を指摘することが、商売のタネになっていると感じます。
そこそこ良い値段がするので、無償でお願いできるのであれば、それに越したことはないです。
また、良い論文をたくさん読むことも効果的です。
まとめ:技術士資格は意外と簡単に取得できる
技術士試験は、転職市場でとても有利な資格です。
しかも、私の体感では、受験者による難易度の差が大きく、人によっては勉強にあまり時間を掛けなくても合格することができます。
しかし、試験の評価基準が曖昧に見えることから、試験対策の参考書が非常に少ないため、勉強方法が不明確でした。
この記事では、技術士試験に必要なスキルを紹介したあとで、試験合格までの勉強方法を4つのステップで紹介しました。
- 過去問から出題テーマを抽出する
- 自分の不足している力を補強する
- 過去問を解く
- 添削を受ける
「記述力」については、日常の仕事でメールを使ったり、技術的なドキュメントを作成している人であれば、試験に合格する素養は十分にあると考えています。
また、「専門的な知識」の補強は、不足分野を明らかにして、その分野に関する情報を読むことで勉強することができます。
このブログの文章レベルでも、技術士試験に合格できるよ!
なお、この記事で紹介した手法は、電気電子部門だけでなく、他の部門でも共通的に使えるテクニックです。
ご参考になりましたら幸いです。
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