ここ最近は右肩上がりだったけど、米国株式に投資するだけで良いのかな・・・?
新興国に投資したいけど、何に投資したら良いか分からないよ。
こんな人のための記事です。
米国は世界経済の中心です。
そんな米国市場に投資することで大きなリターンが得られたことは、過去の歴史が語っています。
米国市場に投資するメリットは、こちらの記事をご参照ください。
しかし、調子が良さそうに見える米国市場ですが、栄枯盛衰、いつまでも右肩上がりに成長し続けるとは限りません。
調子が良い時期があるのと同じように、調子が悪い時期も必ずあるよね。
この記事では、将来のリスクヘッジとして、長期投資におすすめな新興国株式 ETF を紹介していきます。
新興国株式ETFを選ぶ5つのポイント
ポイント①:将来の経済成長率が高いこと
新興国投資の期待値が高い理由は、将来の経済成長率が高いためです。
別の記事で、新興国経済のリスクと、その見通しが明るく見える理由を紹介しました。
新興国経済の見通しが明るく見える理由
- 人口増加が大きい
- 生産年齢の人口比率が高い
- GDP 増加率が高い
- 投資できる ETF が多い (資金の流入手段が多い)
この中で特に注目したいのは、「人口増加が大きい」点です。
この表は、世界における人口上位 10 ヵ国の推移を表しています。
上位 10 ヵ国のうち、アメリカを除く 9 ヵ国が新興国です。
そして、新興国の代表格である中国とインドは、少なくとも 2050 年まで、最も多い人口を持つ国として君臨し続けると予想されています。
先進国の中で唯一人口が増え続けるアメリカは、これからも経済発展が見込めるよ。
また、生産年齢の人口比率が大きいため、「人口ボーナス」による経済成長の促進も期待できます。
日本貿易振興機構 (JETRO) から発行されたレポートによると、中国、インド、インドネシアで人口ボーナスが今後続くことが予想されています。
ポイント②:リスク分散ができること
米国市場は世界経済の中心です。
この米国市場へ投資することで大きいリターンが得られたことは、過去の歴史が語っています。
そのため、私の場合は米国株式を投資先の主軸としています。
S&P500 インデックスと、高配当株式に投資しているよ。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
また、リスク分散をするためには、それぞれの投資対象における相関性を低くする必要があります。
そのため、リスク分散を高めるためには、主軸にしている投資先に対して、新興国株式の相関性が低いことが求められます。
分散投資の具体的な方法は、こちらの記事も参考にできると思います。
相関性とは、関係性のような意味です。
相関性を数値で表したものを相関係数と呼びます。
1 に近いと同じ動き、-1 に近いと逆の動き、0 が全く関係のない動きをするくらいの理解で問題ありません。
また、最近のグローバル化により業種や国境の意味が薄まっているとはいえ、セクター、投資する地域が分散されていることが重要です。
この理由から、新興国投資において、個別株式への投資は候補から外れます。
個別株投資は分散が弱すぎて、長期投資するときは頻繁にメンテナンスが必要だと思うよ。
ポイント③:通貨の為替リスクが小さいこと
ここでのリスクとは、変動率の意味です。
新興国では、ドルとの為替戦争に負けてしまって、自国通貨の価値が下落傾向にあります。
そのため、自国通貨ベースで株価が上昇しても、ドルベースだと小さく見えることがあります。
したがって、投資先を決めるときは為替チャートを確認して、将来的に自国通貨の価値が下落しづらい地域へ投資したいところです。
あるいは、投資先が複数の国に分散されていて、為替リスクを分散できることが好ましいです。
また、為替リスクを小さくするため、現金に近い性質を持つ債券は、投資先として選ばない方が良いです。
ポイント④:経費率が低い、分配利回りが高いこと
新興国株式は長期投資向きです。
短期投資を行う場合は、個別の日本株など、情報が手に入り易く、手数料の安い投資先が適切です。
短期投資なら、手数料の高い新興国株式を選ぶ理由はないよね。
長期投資の場合、バイアンドホールドが基本となるため、経費率が低く、分配 (配当) 利回りの大きい投資先を選んだ方が、ストレスは少ないです。
ポイント⑤:純資産が大きいこと
純資産が小さく、流動性の低い投資先は、「売りたいときに売れない」ことが起こりえます。
そのため、ある程度の純資産があり、流動性の高い投資先が好ましいです。
純資産が大きいと、ETFが上場廃止になる不安もなくなるよ。
長期投資におすすめな新興国株式ETF
新興国株式インデックスに連動するETFの種類
SBI証券、楽天証券で買付できる新興国株式ETF
SBI 証券と楽天証券で買付できる新興国株式インデックス連動の ETF をざっと並べました。
数が多くまだまだありますが、主要なものだけを一覧にしています。
なお、EPI は SBI 証券で買付手数料が無料となるため、少しお得です。
また、VNM は SBI 証券で買付することができません。
ティッカー | 純資産 | 地域 | 経費率 | 分配金 利回り | 組入れ 銘柄数 | 設定年 | 5年平均 リターン | S&P500 相関係数 |
VWO | 12.8兆円 | 世界新興国 | 0.10% | 2.23% | 5250 | 2005年 | 9.1%/年 | 0.95 |
IEMG | 9.0兆円 | 世界新興国 | 0.11% | 1.94% | 2601 | 2012年 | 9.2%/年 | 0.96 |
EEM | 3.4兆円 | 世界新興国 | 0.70% | 1.52% | 1249 | 2003年 | 8.5%/年 | 0.95 |
EEMS | 0.046兆円 | 世界新興国 | 0.71% | 2.00% | 1466 | 2011年 | 9.5%/年 | 0.95 |
SPEM | 0.66兆円 | 世界新興国 | 0.11% | 2.04% | 2916 | 2007年 | 9.8%/年 | 0.95 |
FXI | 0.59兆円 | 中国 | 0.74% | 2.15% | 50 | 2004年 | 3.3%/年 | 0.89 |
EIDO | 0.047兆円 | インドネシア | 0.59% | 1.34% | 82 | 2010年 | -2.0%/年 | 0.66 |
EPI | 0.12兆円 | インド | 0.84% | 0.87% | 475 | 2008年 | 12.9%/年 | 0.89 |
VNM | 0.066兆円 | ベトナム | 0.61% | 0.34% | 47 | 2009年 | 10.2%/年 | 0.96 |
EZA | 0.034兆円 | 南アフリカ | 0.59% | 4.98% | 38 | 2003年 | 1.7%/年 | 0.74 |
AFK | 0.007兆円 | アフリカ | 0.92% | 3.91% | 75 | 2008年 | 3.7%/年 | 0.86 |
SPYD (参考) | 0.61兆円 | 米国 | 0.07% | 4.98% | 81 | 2015年 | 7.5%/年 | 0.54 |
この表の作成にあたり、
- 参考として SPYD と比較
- 115JPY=1USD で計算
- ドル建てで買付できる ETF を選択
- 数値は ETF 運用会社のホームページを参照
- 相関係数は、S&P500 インデックスとの相関を記載
2020 年 1 月~ 9 月 (コロナショックを含む期間) における 1 日の終値ベースで計算
相関係数の計算には、Excel 関数 (CORREL 関数) を使用
としました。
- EPI (インド) は、SBI 証券で買付手数料が無料
- VNM (ベトナム) は、SBI 証券で買付ができない
新興国株式インデックスは、S&P500 インデックスと相関性が高い
上の表から、コロナショックを含む暴落・回復局面では、S&P500 インデックスとの相関係数は全体的に、1.0 に近いことが分かりました。
EIDO (インドネシア) は 0.66 とやや小さいかな。
コロナショックのような暴落時、新興国株式 ETF への投資は、米国株式 ETF との分散になりにくいと考えた方が良さそうです。
一方で、それぞれの国へ個別に投資することで、投資先の地域分散はできそうです。
ただ、投資先を分けたことによる、手数料が大きくなります。
1 つの国に集中投資をすると、災害や紛争などのカントリーリスクや、為替リスクが大きくなるため、
ある程度の分散投資をしたいところです。
分散投資にどれだけコストをかけられるかは、本当に好みによると思うよ。
- 暴落時、新興国株式インデックスは、S&P500 インデックスと相関性が高い
- 分散投資にはコストがかかる
新興国株式インデックスのチャート比較 (VWO/IEMG/SPEM)
この図は、VWO、IEMG、SPEM のチャートを重ねたものです。
チャートを見てわかるように、VWO、IEMG、SPEM は似た動きをします。その大きな理由として、
- 構成しているセクターの割合が似ている
一般消費財、情報技術、金融で上位 50% ~ 55% を占めている。 - 構成している地域の割合が似ている
中国、台湾、インドで、上位 55% ~ 60% を占めている。
ことがあります。
チャートは VWO が少し弱いかな・・・。
チャートが同じような動きをするのであれば、経費率が低く、分配利回りの高い ETF が好ましいです。
また、構成するセクターと地域が重複する ETF を同時に購入する意味はほとんどありません。
そのため、VWO、IEMG、SPEM の中では、分配利回りの高い VWO か、リターンの高い SPEM が投資先としてオススメです。
- VWO、IEMG、SPEM のチャートは、同じような動きをする
- 経費率は、ほとんど同じ
- 分配利回りが高いのは、VWO
- リターンが高いのは、SPEM
新興国における為替リスク
新興国の通貨価値は、先進国より変動率が高く、しかも下落する場合があります。
米国株や日本株に投資していると、あまり気にしないんだけど・・・。
新興国代表として、ブラジル・レアル (BRL) の通貨価値を見てみます。
BRL/USD チャート
こちらは、BRL/USDのチャートです。
分子のブラジル・レアル (BRL) の通貨価値が上がれば上昇して、分母のアメリカ・ドル (USD) の通貨価値が上がれば下落します。
2011 年に 0.64 だった通貨価値が、2020 年には 0.189 まで下落しています。
これは、わずか 10 年間でブラジルにおける資産が、ドルベースで約 1/3 の価値になったことを意味しています。
怖すぎて、ブラジルに投資できない・・・。
新興国通貨のチャート
こちらは、新興国通貨の最近 10 年間のチャートです。
各国の通貨コードは以下の通りで、分子がそれぞれの国の通貨、分母が日本円となっています。
国/地域 | 通貨 | コード |
日本 | 日本円 | JPY |
アメリカ | アメリカドル | USD |
インド | インドルピー | INR |
インドネシア | ルピア | IDR |
ベトナム | ドン | VND |
南アフリカ | ランド | ZAR |
中国 | 中国元 | CNY |
このチャートから、アメリカドル (USD) が非常に強く、日本円 (JPY) とくらべて、約 45% 上昇したことがわかります。
ドル建て資産を持っているだけで、資産価値が 45% 上昇したってこと。
また、アメリカドル (USD) 以外にも、中国元 (CNY)、ベトナムドン (VND) の価値が上昇していることがわかりました。
中国元 (CNY) で最大 60% の上昇です。
一方で、新興国通貨の中では、南アフリカランド (ZAR) の下落が大きく、 日本円 (JPY) に対して、最大 40% の下落があったことが確認できます。
南アフリカランドの通貨や債券を買っちゃダメだね・・・。
- 新興国の通貨価値は、先進国より変動率が高く、下落する場合がある
- 為替変動は、+60%~ー40% と大きい
- 南アフリカ・ランドの下落幅は大きく、最大で約 40%
新興国株式ETFのおすすめ投資先
低い経費率、高い分配利回りがあり、世界中に分散投資できるメリットから「VWO、SPEM」がおすすめの投資先です。
また、将来の人口ボーナスに期待できるメリットから、個別の国へ投資するのであれば「FXI、EIDO、EPI」もおすすめの投資先となります。
ただし、色々な国に分散して購入する場合は、それだけ手数料が大きくなります。
何種類も ETF を購入するのであれば、世界の新興国全体に投資できる、VWO、SPEM がおすすめです。
まとめ:将来のリスクヘッジとして、新興国株式投資はあり
米国株式投資における将来のリスクヘッジとして、長期投資におすすめな新興国株式 ETF を紹介しました。
これらの新興国株式 ETF を選んだポイントは 5 つです。
- 経済成長率が高い
- リスク分散ができる (主軸の投資先と相関性が低い)
- 通貨の為替リスクが小さい
- 経費率が低い、分配利回りが高い
- 純資産が大きい
将来のことは、誰にも分かりません。
カントリーリスク、為替リスクの分散を行うために、米国株式のみの投資ではなく、新興国へ投資することは選択肢の一つにできると考えます。
リスクヘッジとして投資するのはありなんだけど、資産のトータルリターンが低くなりそうだから、実際に投資するのは勇気が必要だよね・・・。
ご参考になりましたら幸いです。
コメント
初めまして、かえるリーマンさん
ちな、と申します。
株は国内現物しかやったことありませんが、米国株のやり方が分からず困っておりました。
米国株に関して、かえるリーマンさんのブログが本当に参考になってます。
これからも応援しております。
こんなブログ運営してますが、興味があれば遊びに来てください(*ノωノ)
https://second-work.info/
コメントありがとうございます!
ご参考になりましたらうれしいです。今後とも遊びに来てください。