奨学金破産ってご存じですか?

奨学金は、経済的な理由で修学が難しい学生に向けて、学費の「貸与」や「給付」を行う制度です。
昨今、この奨学金を使った方の自己破産が増加しているようです。

奨学金ってよく聞くけど、結局借金だよね。どのくらいの人が使っているの?

そもそも学費が払えない・・・。奨学金の利率ってどのくらい?
こんな人のための記事です。
この記事では、奨学金の実態についてまとめていきます。
奨学金の受給状況

奨学金を借りる先といえば、日本学生支援機構(JASSO)が有名です。そんな JASSO から、奨学事業に関する実態調査が出ています。
奨学金の受給状況
第一種 奨学金を受けた (%) | 第二種 奨学金を受けた (%) | 第一種と第二種 併用を受けた (%) | 合計 (%) | |
国立 | 17.5 | 15.7 | 4.7 | 37.9 |
公立 | 23.3 | 19.8 | 5.0 | 48.1 |
私立 | 12.6 | 24.6 | 5.7 | 42.9 |
平均 | 14.0 | 22.8 | 5.5 | 42.3 |
奨学金には第一種と第二種があり、第一種が無利子貸与、第二種が有利子貸与です。そのため、ほとんどの人が第一種を希望するようですが、審査が厳しいため、その多くが第二種を選択することになるようです。
JASSO によると、JASSO以外の奨学金 受給率は9.7% とのことで、上記の JASSO での受給率 42.3 %と合わせると、だいたい2人に1人が奨学金を受給しているといえそうです。

奨学金を使う人って、けっこう多いんだね
年収別の受給状況

さらに、家庭の年収別でみると、
- 世帯収入の低い方が、受給者が多い
- 世帯収入 650 万円を超えると、第二種の受給率が第一種を超える
- 世帯収入 1050 万円以上であっても、第一種の受給者がいる
- 世帯収入 1050 万円以上が、受給者の 10~17 % を占める
ことが読み取れます。

収入高い世帯でも、意外と奨学金を利用している・・・
将来支払う金額は?

奨学金の返還方法
奨学金を返還する際の利率で気をつけることは、
- 「利率固定方式」と「利率見直し方式」のどちらかを選択
- 「利率固定方式」は、貸与終了時期に決定した利率が、返還完了まで適用
- 「利率見直し方式」は、返還期間中、おおむね5年ごとに見直された利率が適用
- いずれの方式も、利率は 3 %/年が上限
- 在学期間中、返還期限猶予中は無利息
- 貸与期間が終了する年度の一定時期まで、「利率固定方式」と「利率見直し方式」を変更可能
となります。

在学期間の最後の年に、そのときの利率を見て「固定方式」か「見直し方式」を選択できる、ということね
いずれにしても、奨学金の利率は、「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2種類があり、どちらかを選択することになります。
奨学金の利率推移

このグラフは、「利率固定方式」と「利率見直し方式」の利率を、2007 年~ 2019 年の期間でプロットしたものです。過去の歴史を見ると、直近 13 年間は、「利率固定方式」より「利率見直し方式」のほうが、常に利率が低いことが分かります。しかも、一貫して利率は下がり続けており、ここ 5 年間では 0.1 %/年を下回っています。

政府機関でお金儲けしていないとはいえ、利率がとっても低い!
また、リスク分散の点では、定期的に利率を見直す「利率見直し方式」が良いです。
したがって、総合的に見ても「利率見直し方式」を選ぶメリットの方が多いと思います。
まとめ:奨学金を使うメリットは多い
JASSOが提供している奨学金制度は、借りる側にとって非常にメリットが大きい制度です。
具体的なメリットは以下の通りです。
- 第二種であれば、世帯年収が 1050 万円以上の高収入な世帯でも受給できる
- 利率見直し方式を使えば、利率 0.1%/年以下と、ほぼ無利子で使用できる
自己破産に追い込まれるケースを冒頭に紹介しました。内容は「奨学金を借りても返せない人が増加」ということでしたが、上に書いたメリットの通り、高金利によって返せないのではありません。単純に身の丈以上のお金を借りてしてしまい、支払えない状態に陥ったことが原因だと推測できます。

奨学金制度は、とても良い制度だよ
非常に金利が低いので、長期投資の資金として使う人もいると思います。世帯年収 1050万円以上の人なんて、ちょっと怪しく見えてしまいます。
かえる個人としては、制度上問題なければ、使うのは個人の自由だと思っています。教育費として使うのも良し、投資資金として使うのも良し、これが奨学金制度の現状だと思いました。

ご利用は計画的に!
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